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有古ニュース  2006.4


■知的財産の価値評価について

~知的財産の価値はこのようにして評価されるようになってきました~

 日本では「知財立国」を目指した取り組みが縷々行われている ところですが、その取り組みの中には、特許、商標といった知的財産を経営の中に積極的に反映させる仕組み作りがあります。
知的財産を経営の中に反映させる取り組みとしては、各企業において「知的財産報告書」を作成し、投資家などにIR(Investors Relations)として開示する取り組みが既に始まっ ています。この「知的財産報告書」は、企業自らが自分の知的財産の価値を評価し、企業価値の評価に役立てるものであり、知的財産の価値評価が重要な要素と なっています。
他方で、特許権、商標権といった知的財産権の価値評価は、従来から裁判等紛争処理においても行われています。
 このような状況の下、日本弁理士会と日本公認会計士協会とは、昨年4月頃より積極的に相互交流を図り、知的財産の価値評価の客観性及び妥当性の向上に取 り組んでいるところです。また、日本弁理士会は昨年4月に「知的財産価値評価推進センター」を設置し、知的財産の価値評価手法を研究し、その客観性及び妥 当性の向上に努めるとともに、昨年7月よりは研修事業を通じて知的財産の価値評価を行う弁理士の育成にも努めております。
 ここで、現在実用されている知的財産の価値評価手法を簡単に説明しますと、日本弁理士会の試案では、ディスカウント・キャッシュフロー法(DCF法)が 基本的な手法とされています。DCF法は、一般的な会計手法の一つですが、ここでは特許権、商標権といった独占排他権がもたらす利益(キャッシュフロー) を算出し、所定の割引率に基づいて現在価値に換算します。しかしながら、算定には、製品の利益のうち知的財産が貢献する割合を決める寄与度、割引率、将来 の利益予想といった係数及び想定値を要しますので、その評価額はこうした値の設定によって上下してしまうのが実情です。
 また、DCF法以外の方法として、免除ロイヤルティ法が用いられるケースが比較的多い手法となっています。免除ロイヤルティ法は、自分が知的財産(特許 権、商標権)を保有していることで、支払わなくて済んでいるロイヤルティ額(免除ロイヤルティ額)を知的財産の価値とする手法です。この手法では、自社の 売上げ及び売上げ見込みや、他社へのロイヤルティ率(実施料率)に基づいて免除ロイヤルティ額を算出し、所定の割引率に基づいて現在価値に換算します。
 こうした評価手法とは別に、知的財産によっては、既に他社に使用あるいは実施許諾を行い、ロイヤルティ収入を得ている知的財産もあります。このような知 的財産では、このロイヤルティ収入が知的財産の価値評価に大きく影響してきます。つまり、被許諾者(ライセンシー)の売上げ及び売上げ見込みや、ロイヤル ティ率(実施料率)に基づいて将来のロイヤルティ見込み額を算出し、所定の割引率に基づいて現在価値に換算することによって、実ロイヤルティ収入を算出す ることができます。
 この実ロイヤルティ収入を上記価値評価の算出結果と比較した場合に、その知的財産の評価は、ほとんど実ロイヤルティ額によって決まってしまうケースもあ ります。
さらには、同業他社へのライセンス許諾の可能性を含めて、潜在的ロイヤルティ額を算出すると知的財産の価値評価はさらに高まる結果となります。同業他社 の市場占有率、市場規模等のデータを収集するとこの潜在的ロイヤルティを算出することができます。
 このようにして、知的財産の価値評価手法は特定の手法に限定されるものではなく、裁判所や各企業が情況に応じて計算手法を取捨選択して用いられていま す。
 現在、有古特許事務所では、所属弁理士が「知的財産価値評価推進センター」の評価人候補に登録し、研修プログラムに参加しております。
 今後は、研鑽を積んだ価値評価技能を活かして、顧客の保有する知的財産の価値をその経営に反映させてゆく取り組みを積極的に支援して参ります。

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