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有古ニュース  2006.8


■中国の特許審査基準の改訂について

 中国の特許審査の審査基準に当たる「審査指南」が改訂され、2006年7月1日より実施されています。「審査指南」の日本語訳は日本でも販売されておりま すので「審査指南」をご利用の方もあろうかと思います。
 この度、有古特許事務所では、その改訂部分のうち日本側でも知っておくと良い点の解説をITL上海首席代表の曹芳玲専利代理人に用意してもらいました。
 改訂内容は、書誌的事項から進歩性の判断のように実体審査に影響する内容まで多岐に亘っていますので、改訂の背景やポイントは一言で表現できません。但 し、改訂点の多くは既に行われていた実務上の手続きや判断を後追いして規定化したものであり、今のところ、今回の改訂に伴う実務上の変更はさほど生じてい ないようであります。
 なお、実務上の判断には正確な改訂内容を要しますので、本稿は改訂点の目安としてご利用されると便利かと思います。下記の改訂部分に該当する案件の場合 には、弊所あるいはご関係の現地代理人に改訂内容をご確認された上で、対応を決められることをお薦めします。

 

審査指南(いわゆる審査基準)の改訂について

ITL上海 首席代表 曹芳玲
(ITLにて翻訳及び簡明化)

 2006年7月1日に実施の審査指南は2001年版を基礎にして改訂したもので、今回の改訂は、2001年版審査指南 のほぼ全ての章節に及んでいる。
2001年版審査指南をベースとして、改定の概略について説明する。
尚、本改訂説明は、今回の審査指南の改訂が及ぶすべての項目を列挙しているのではない。(項目番号は、審査指南の項目委番号を用いている。)

第一部分 方式審査

第一章 特許出願の方式審査

1. 序言

本節で行った改訂は、「特許出願の方式審査の範囲」をよりいっそう明確にするためであり、出願書類の形式審査、出願書類の実質性が明らかか否かの審査、 その他文書の形式審査、関連費用の審査の4点を含む。

2. 審査原則

本節での追加内容は、書面による審査を原則とし、証拠聴取を原則とし、手続きの簡略化を原則とする点を強調している。

3. 審査手続き

本節では内容の追加が行われている。そのうち、3.5方式審査では、拒絶査定になる状況は2種類あることを明確にしている。

3.5 方式審査

第1

出願書類に明らかな実質的欠陥が存在して、審査官が審査意見通知書を出した後、出願人が意見を陳述或いは補正した後もなおこの問題が解消されてい ない場合。

第2

審査官が同一欠陥に対して、既に2度補正通知を出したが、出願人は意見陳述或いは補正後も依然として当該の欠陥が解消されていない場合。

4. 出願書類の形式的審査

4.1.1

願書の発明の名称と明細書中の発明の名称とは一致すべきであることを強調している。

4.1.3

出願人の変更、及び願書に記載されている会社の名称と印鑑の会社の名称とが不一致の場合は、共に記載箇所の変更が必要であることを明確にして いる。

4.2

ヌクレオチド酸或いはアミノ酸のリストは明細書に続けてページ番号をつけることを明確にしている。

5.1.1 分割出願する場合の照合

案件ごとに分けて出願する場合の提出時期に関して規定を追加している。すなわち、拒絶査定が有効になるまでの時、即ち拒絶査定通知を受け取った後3ヶ月 未満或いは不服審判或いは行政訴訟期間に、出願人は分割出願することができる。
分割出願と原出願の分類が不一致の時、審査官は分案出願を未提出と見なす通知書を出すべきであることを明確にしている。
分割出願の再分割の提出時期は、原出願に基づいて審査すべきという規定を追加している。但し、分割出願が、単一性に欠陥が有るため、出願人が審査官の審 査意見に基づき、再分割する情況においては、原出願の時期にかかわらず再分割が認められる。
当該追加規定に基づき、再分割の時期は、第1に、専利局からの原出願に対する専利権授権の通知書を受け取った日から2ヶ月の期限満了前、第2に、原出願 の拒絶査定通知を受け取った日から3ヶ月以内、第3に、再審或いは行政訴訟期間となる。

6.1.3 委託解除と委託辞退

委託解除を「事前に相手の当事者に知らせる」という規定を削除している。即ち出願人は、原専利代理機構に委託を解除する時、事前に相手に知らせる必要が ない。出願人は委託人として委託を解除する権利がある。手続き合格後に、専利局から双方の当事者に通知する。
専利代理機構が委託を辞退する時は、全ての委託人(出願人或いはその代表者)の署名或いは捺印した委託辞退に同意する声明を提出しなければならないこと を明確にしている。

6.2.5 優先権要求の回復

当節で、専利法実施細則第七条の規定に基づき優先権の回復を要求する5つの状況を明確に列挙している。これ以外は回復することができない。 

6.7.1 記載項目変更手続き

6.7.1.1 記載項目変更申請書

複数件専利申請の同一記載項目の変更について明確に規定しており、たとえ変更内容が完全に同じであっても、個別に記載項目変更申請書を提出しなければな らない。

6.7.1.2 記載項目変更手続き費用

専利料金基準の記載項目変更手続費用は、1件の出願において記載項目の変更を申請する回数毎、項目数毎に要する費用であることを明確にしている。つま り、1件の出願で複数の申請の場合は、複数の費用を納めなければならない。すなわち、多項目の記載項目の変更を一回で申請する場合でも、多項目の費用を納 めなければならない。

6.7.2 記録項目の変更証明文書

当節では、改名するのに必要な証明書類を具体的に規定している。原規定は具体性に欠けていたためである。

6.7.2.1

当節では出願人(あるいは専利権人)の変更に必要な証明文書が成すべき詳細規定に関してするものである。特に、出願人或いは専利権特許権 人は中国語訳名を変更する場合は、出願人(或いは専利権人)の声明を提出しなければならない点は注意を要する。

6.7.2.3 発明者の変更

当節は発明者変更規定の追加であり、原審査指南はこの面での具体的規定は無かった。
以下の2点に注意を要する。
発明者の記載漏れ或いは誤記の為変更請求を提出する場合は、全出願人(或いは専利権者)と変更前の発明者の署名或いは捺印した証明書類とを提出しなけれ ばならない。
中国語訳名称の改定で変更請求をする場合は、発明者声明を提出さなければならない。

6.7.2.4 専利代理機構及び代理人を変更する場合

この節では代理人変更に関する規定を単独の1節とし、あわせて委託委譲と専利権委譲後の委託に関連する規定を追加している。

第二章 実用新案の方式審査

本章の改訂は主に「実用新案の保護対象」の関連規定に関するものある。

6.1 実用新案は製品のみを保護する(原審査指南5.1節)

この節での改訂は「実用新案は製品を保護するのみで、当該製品は工業的に製造され、一定の空間を占める実体であるべきこと。」をいっそう明確にしてい る。
また、実用新案は、製品の形状、構造についての技術事項を保護するだけのものであることを明確に規定している。請求項に形状や構造の特徴を含み、且つ方 法自体の技術事項も含むのであれば、実用新案の保護対象に属しない。もっとも、従来技術の中で既に知られた方法の名称により製品の形状や構造を限定する場 合、例えば、溶接、かしめ等の既に知られた方法の名称により各部品が連結する関係を限定する場合には、方法自体の技術事項には属さない。

6.3 製品の構造

この節は、原審査指南5.3節の「実用新案で保護請求している製品が従来技術に対して、材料の分子構造或いは成分が異なっているのみである時は、実用新 案の保護対象にも属さない。例えばプラスチックでガラスの同様形状のコップを代替する場合」が削除されている。
以上の改訂は材料に特徴のある製品に実用新案の保護を与えるべきであることを明確にしている。すなわち、製品を構成している全体の材料間の組合せは製品 の構造であると見なすことができる。
この節では、材料自体に関する技術事項は実用新案の保護対象に属さないことを規定している。例えば、1種の菱形の錠剤であって、その特徴が、当該錠剤が 20%のA成分、40%のB成分と40%のC成分で構成されている場合である。当該請求項は、材料自体の技術事項を含んでいる。しかし、形状、構造を有す る製品に応用されている従来技術の中の既知材料は、材料自体の技術事項に属さない。例えば、複合木板、プラスチックコップ、記憶合金製心臓血管支柱は、材 料自体の技術事項に属さない。

第二部分  実質審査

第一章 専利権を授与しない出願

2.専利法実施細則第二条第1項の規定の対象に合致しない

当節で追加された内容は、技術手段、技術問題及び技術効果の3要素を備えていない事項は、実施細則第二条規定の対象に属さないことを強調している。すな わち、専利権を授与することができる対象に属さないことを強調している。

4. 専利法第二十五条に基づく専利権を授与しない対象

4.1 科学的発見

4.2 知的活動の規則と方法

(1)請求項が知的活動の規則と方法だけに言及するならば、専利権は受けられないことを明確に規定している。又もし一つの請求項が、主体(例えば主題の 名称が製品である場合)ではなくて、限定する全ての内容が知的活動の規則と方法である場合、すなわち当該請求項が実質上は、知的活動の規則と方法だけに言 及している場合には、特許権は授与されるべきでないことを強調している。
(2)この点の説明では、例えば一つの請求項がそれに対して限定する全ての内容に対して知的活動の規則と方法の内容とを含み、又技術的特徴を含む場合、 すなわち当該請求項が全体として一種の知的活動の規則と方法である場合には、専利法第25条に基づき、特許権を獲得する可能性を排除するべきでないとして いる。

4.3 疾病の診断と治療方法

4.3.1.1 診断方法に属する発明(専利権を授与することができない状況)

疾病の診断と関係がある方法、例えば同時にもし以下の2条件を満たす場合、専利権を受
けることができない。
(1) 生命のある人体或いは動物体が対象となる場合。
(2) 疾病診断結果或いは健康状態を得ることを直接の目的とする場合。
同時にある発明が形式上本体から分離したサンプルを対象にしたものであることを述べていても、当該発明は同一主体の疾病の診断結果或いは健康状態を得る ことを直接の目的にしている場合、当該発明は依然として専利権を受けることができない。
また、もし専利保護を請求する方法に診断ステップを含んでいるか或いは診断ステップを含んでいなくとも、検査ステップを含み、従来技術の医学知識と当該 専利開示の内容に基づき、述べた診断或いは検査・測定情報を知りさえすれば、疾病の診断結果或いは健康状態を直接得ることができるならば、当該方法は「疾 病の診断結果或いは健康な状態を獲得する直接目的にする」と見なされると明確に規定している。もし同時に以下の条件(1)を満たしているならば、当該方法 は専利権を受けることができない。

4.3.1.2 診断方法に属さない発明(特許権を受けることができる場合)

この部分は診断方法に属さず、即ち専利権を受けることができる発明3つに分類している。
(1) 既に死亡した人体或いは動物で実施した病理的解剖方法。
(2) 直接の目的が診断結果或いは健康状態を得るものではなく、生きた人体或いは動物から中間結果としての情報を得る方法及び/或いは情報処理する (形体のパラメーター、生理パラメーター或いはその他のパラメーター)方法。
(3) 直接の目的が、診断結果或いは健康状態を得るのではなく、既に人体或いは動物を離れた組織、体液或いは排泄物を処理或いは検査、測定のみを行 い、中間結果としての情報を得る方法、或いは情報を処理する方法。
4.3.1.1で強調している精神に基づき、上記(2)と(3)は従来技術中 の医学知識と当該専利出願で開示した内容に基づき、情報自体から直接疾病の診断結果或いは健康状態を直接得ることができない場合においてのみ、これらの情 報が中間結果と見なされることをより強調している。

第二章 明細書と請求の範囲

3.2 請求の範囲で満足させなければならない要求

専利法第26条第4項の規定では、請求の範囲は明細書に基づかねばならず、専利保護を要求する範囲を説明している。専利実施細則第20条第1項の規定で は、請求の範囲は発明或いは実用新案の技術的特徴を説明しなければならず、明確かつ簡単に保護請求の範囲を述べなければならない。

3.2.1 明細書を根拠とする

ここでは、「請求項は明細書を根拠とする」と改訂されている。請求項は明細書の支持を得なければならず、ここで強調される点として、「支持」とは実質上 の支持を指す。
また、「請求項の概括は適切であるべきで、その保護の範囲がちょうど明細書の開示の内容に対応して」が「請求項の概括は明細書の開示の範囲を超えてはな らない」に改訂されている。原指南の中の「適切」、「ちょうど対応する」が実際の運用中で判断しにくいためである。また、「当業者が明細書で提供する実施 形態のすべての同等の代替形態或いは明らかな変型形態で同じ性能或いは用途を備えることを合理的に予測できるならば、出願人は請求項の保護範囲をそのすべ ての同等代替方式或いは明らかな変型方式までカバーすることが許される」という内容が追加されている。「明細書の開示の範囲」の意味は、「説明書で述べて いる実施形態」に合理的に予測できる「あらゆる同等の代替形態或いは明らかな変型形態」を加えたものである。この解釈が上記の「実際上の支持」の要求に合 致する。
さらに、「元の開示の範囲を出願する」が「明細書開示の範囲」に改訂されている。この様な表現の方がより正確である。また、「請求項の概括により当業者 が上位概念或いは並列概括に含まれる一種或いは多種の下位概念或いは選択方式が発明或いは実用新案で解決しなければならない技術問題を解決できないと疑う 理由を持ち、同じ技術効果に達するならば、当該請求項は当然明細書の支持を得ていないと認められるべきである。」という内容が追加されている。この規定は 二重の意味を表している。その一つは少なくとも実現不可能との状況であれば、請求項は明細書の支持を得られなかったと認められる。二つ目はもし実現できな い情況が発見できなかった場合は、請求項は明細書の支持を得られたと見なす。このような規定により現在多くの審査官が一つ或いはいくつかの実施例に基づき 断片的判断で支持するか否かを判断する誤ったやり方を解決でき、他方では請求項が支持を得られなかった場合に対して、審査官は「問いただす」必要がある。
機能的限定の問題に対して「請求項に含まれる機能性を限定する技術特徴は、記載された機能をすべて実現できる実施形態をカバーすると理解されねばならな い。機能性を限定する特徴を含む請求項については、当該機能性の限定が明細書の支持を得るかどうかを審査されねばならない。請求項に限定された機能が明細 書実施例中の記載の特定の形態で完成され、且つ当業者がこの機能が明細書中に書かれていないその他の代替の形態で完成させることを明確にできず、或いは当 業者が当該機能性を限定する1種あるいは数種類を含む方式では発明或いは実用新案が解決しなければならない技術問題を解決できないと疑う理由があり、且つ 相当の技術的効果を得られるならば、請求項には上記代替方式或いは発明或いは実用新案技術問題を解決できない方式の機能性限定をカバーすることはできな い。」と規定している。この規定は「機能性を限定する技術特徴は、記載された機能を実現する実施の方式をカバーする」と理解されねばならず、同時に機能性 による限定を使用してはならない条件も規定をしている。
「独立請求項と従属請求項或いは異なる類型の請求項を含んだ請求項については、各アイテムの請求項が明細書の支持を得ているか逐一判断する必要がある。 独立請求項が明細書の支持を得ていることは、従属請求項も必然的に支持を得ていることを意味しない。方法の請求項が明細書の支持を得ることは製品の請求項 も必然的に支持を得ることを意味しない。」との規定を追加している。

第三章 新規性

2.1.3.1 出版物による公開

ネットでの公開に関する内容を追加している。
ネットで公開されている情報は無形のキャリアに記載されているため、原指南中の出版物の定義の「有形伝播キャリア」を「伝播キャリア」と改定する。
並びに多くの非公式出版物にはその中に出版者、発表者及び出版時期を明記していない。
そのため、原指南中の「専利法の意義上の出版物とは、技術或いは設計内容を記載した独立して存在する有形の伝播キャリアで、且つその発表者或いは出版者 及び公開発表或いは出版時期を声明しなければならない。」を「専利法意義上の出版物とは、技術或いは設計内容を記載した独立して存在する伝播キャリアで、 且つその公開発表した時期の声明或いはその他の証拠で証明しなければならない。」に修正している。
出版物の公開日の確認についても、相応して「一般情況において、出版物の印刷日を公開日と見なし、証明証拠が有る場合は、除外する」と改訂する。

2.2 抵触出願

抵触出願とは他人が出願日の前に提出し、出願日の後に公開され、当該出願日に提出した発明或いは実用新案の新規性を損なう特許出願を指す。
「ここで言う他人には出願人が部分的に共通している場合も含む」を追加している。
先に出願した出願人と後で出願した出願人が部分的に重複した時、当該先願は後願の抵触出願を構成することになることを強調している。
当節で他に注意しなければならない改訂は:
原指南の中で抵触出願としての国際出願を「出願日前に他人から提出されて、出願日以後(出願日を含む)に中国国内段階に入った……の国際特許出願」と記 述しているが、これでは出願日前に国家段階に入り、その後中国語で公開された国際出願を排除していたので、この誤りを訂正するため、この部分の表現を「抵 触出願は中国国内段階の国際特許出願であり、出願日以前に他人から提出され、出願日以後(出願日を含む)に中国語で公開されたもの、且つ同様の発明或いは 実用新案をも含む」に改訂している。

3.1 審査原則

新規性判断を明確にするため、「同様の発明或いは実用新案」とは両者が技術領域、技術問題、技術事項と予想される効果が実質上同じであることを指す。つ まり、新規性を判断する時「同様の発明或いは実用新案」については完全に同一だけではなく、また一般(上位)概念、数値範囲等のその他の面を含む。
又、新規性の審査を行う時、審査官はまず両者の技術事項が実質上同じかどうかを判断し、そして解決する技術問題、技術領域と予想される効果と技術事項の 関係が、技術事項の新規性判断の核心作用であることを際立たせていることを説明しなければならない、と強調している。

3.2 審査基準

3.2.4 数値と数値範囲

当該部分の改訂は、「点数値は範囲の新規性を壊し、狭義範囲は広義範囲の新規性を壊し、重複している部分は新規性を持たない」の原則に基づき、原指南中 の文字に対して分類、統合を行い、元の8部分を統合して5部分にし、理解しやすくするために例を挙げて説明している。

3.2.5 性能、パラメーター、用途及び整備方法等の特徴を含む製品の請求項

当該部分は新しく追加した内容である。主に現在の各領域で日毎に増加する「パラメーター、機能、用途、方法の特徴を含む製品請求項」の新規性の判断基準 に対して明確に規定し、審査官がこれらの請求項を審査する時のために、運用することができる統一標準を提供している。

4.1 外国優先権

4.1.2 同一主題の発明の創作の定義

本節では「実質上同一」という語句を削除している。
優先権の判断において「同一の主題の発明の創作」の定義について、原指南では新規性の判断原則と完全に一致していた。この部分の改正は、優先権の「同一 の主題の発明の創作」は新規性の基準とは違うことをよりいっそう協調している。
実際、両者の基準は相似箇所があるが、決して完全に同一ではない。優先権の「同一」は「完全に同一」(但し文字の記載と表現方式を完全に一致することま では求めない)を指すべきで、新規性の基準では「実質上同一」で、一般(上位)概念、具体的(下位)概念と数値範囲の相互包含、及び請求項の保護範囲の相 互の交差重複、相互包含する状況を含む。

6.同様な発明の創作に対する処理

この節の法律的根拠は専利法第9条と実施細則第13条第1項である。
実施細則13.1規定は「同様の発明の創作には一つの特許権しか授与できない」である。
原指南では実施細則13.1の「同様の発明の創作の処理」の規定は比較的曖昧であり、実際の審査の中では当該節が述べる「同様の発明の創作」と新規性判 断原則の「同一発明或いは実用新案」と混同しやすい。
改訂後この箇所を「同様の発明の創作」は「保護範囲」が同じであることを指すと明確に規定している。すなわち、「同様の発明の創作」であるか否かを判断 するのは両者の請求項を単に比較することである、これ以外に、ここで述べている「同一」とは「完全同一」で、上下位概念と数値範囲の相互包含、及び請求項 の保護範囲の互いの交差重複、互いに包含する状況を含まないが、慣用手段の直接置換は包括する。

第四章  進歩性

2.1 従来技術

改訂は「抵触出願」が新規性を判断する時に考慮するだけであり、発明の進歩性を判断する時は考慮しない、と強調している。

2.2 際立った実質性の特徴

原指南中では、「もし発明が、当業者が従来技術の基礎の上に論理分析、推理或いは限られた試験で得られた場合には、当該発明は明らかに、際立った実質的 特徴を備えていない。」としていた。改訂では「もし発明が当業者の従来技術の基礎の上にわずかな論理分析、推理に合致するか或いは限られた試験だけで得る ことができたならば、当該発明は明らかに、際立った実質的特徴を備えていない」。つまり、「わずかな」と「合致する」を追加することにより、この改訂で判 断がより明確になる。

3.発明の進歩性の審査 

3.1 審査原則

3.2 審査基準

3.2.1 際立った実質的特徴的実質的特長の判断

3.2.1.1 判断方法

当節では小節の名称を追加し、当節の内容の主題を際立たせた。
原指南では際立った実質的特徴を判断する中で、その中の「技術的開示」の問題が正確に把握できなかったが、今回の改訂で、技術的開示の異なる判断方法に 基づき、本小節中に相応する3つの実例を追加している。

3.2.1.2 判断実例

当小節は追加した内容であり、実例により発明の保護を請求する技術事項が、容易な一般的な思考で有るか否かを「3ステップ法」で説明している。

4. 数種類の異なる類型発明の進歩性判断

当節では、実際の審査中で困惑を起こし易い「組合せ発明」、「選択発明」「用途発明」及び「要素変更発明」の進歩性判断に対して整合、補充と調整を行っ た。
すべての類型毎に列挙した実例の順序を調整している。すなわち、進歩性を備えていない実例を最初に列挙し、それから進歩性を備える実例を列挙している。 実例では予想できない技術効果がある時の発明は進歩性の理念を備えていることを強調している。

4.5 既存製品の新用途発明

当節の見出しの「用途発明」を「すでに製品化されている新用途の発明」に改正している。用途発明は公知製品の新用途や新製品の用途発明を含むので、この 節の内容は公知製品の新用途だけに限定している。

5. 発明の創作を判断する時考慮しなければならないその他の要素

当節は原指南3.3節で、その名称「補助的審査基準」を「発明の創作を判断する時考慮しなければならないその他の要素」に改訂している。
その内容は実質的には改訂されていない。
この改訂の基本思想は、発明に進歩性が有るか無いかを評価するには専利法22.3を唯一の審査基準とするべきであり、3.2.1.1で述べている「3ス テップ法」を参考にして判断されるべきで、「補助的審査基準」で進歩性審査を行うのではないことである。これまでの実践の中で、審査官は往々にして進歩性 判断の基本原則である3ステップ法を顧みないで、直接、補助基準を使って進歩性判断を行っていた、故に今回の改訂は、当該部分の内容を単独に一節として、 そしてそれを3.1の判断原則と3.2の判断基準との後に置いた。

第八章 実体審査手順

4.1 審査の書類

当節は、審査官が実体審査を開始する時、初めの審査で使う書類について規定している。
原指南のこの一部であって、補正書類は専利法33条の要求を満たすべきであり、補正書類が33条の要求を満たしているかいないか、及び補正書類が部分的 に範囲を超えていない場合にどのように審査すべきかを判断する規定(当該の内容は5.2.1に移している)の部分を削除している。補正書類が33条の規定 に合致するか否かを判断することは、本節の内容ではないからである。本節は実質審査を開始時、初めの審査で使う書類を規定するものである。
改訂後の本節は初回審査の書類とすることができる2つの情況を明確に規定している。 第1には出願人が細則51条規定に合致する自発補正の書類を提出し ていない場合、元の出願文献或いは専利局の要求に応じた補正後の補正文献を審査書類とする。第2には出願人が細則51条規定に合致する自発補正をした書類 を提出した場合で、補正の内容が元の明細書と請求の範囲で記載した内容を超えるかに関わらず、すべて出願人が提出する当該の補正書類を審査書類とする。複 数回も補正した書類を提出した場合、最後に提出した出願書類を審査書類とする。
細則51条規定にある時間内に合致しないで提出した場合において、審査官が審査書類の特例の状況と認めるのは、原出願書類の欠陥を取り除いていて、かつ 審査手続きを節約することができる場合である。しかし、この特例は出願人が細則51条に反して自発補正ができる根拠にはならず、この補正を受け入れるかど うかは審査官による。

5.2.1 補正の要求

4.1で削除した内容を追加している。
改訂では原明細書と請求の範囲に記載の範囲は、原明細書と請求の範囲の文字で記載された内容及び明細書に添付された図面から直接的に、疑う余地も無く確 定した内容を含むことをより一層明確にしている。また、出願人が専利局に提出する外国語の書類と優先権書類の内容は、出願書類の補正が専利法33規定に合 致するかどうかを判断する根拠にすることはできないが、国内段階の国際出願の最初に提出した外国語書類は除外されることを明確に規定している。

5.2.2  許容される補正

5.2.2.1 請求項の補正

請求放棄(disclaimer)に関する具体的な補正方法の内容を削除して、本章第5.2.3.3節の「許容されない削除」に移動している。

6.1 拒絶査定

6.1.1 拒絶される出願の条件

原指南は、「補正後の出願書類中に出願人に通知した理由と証拠とで拒絶される欠陥が依然として有る場合は、審査官は拒絶査定をすることができる」と規定 していた。このような規定では審査官は出願人が提出する補正書類中に、新たに追加した従属請求項に対して論評せずに拒絶査定をすることがある。今回の規定 改訂により、拒絶査定は、一般的には第2次審査意見通知書後に出すべきであり、審査官が直接拒絶査定を出す例外の状況としては、出願人が第1次審査意見通 知書に回答する際、説得力のある意見を提出せず、書類も補正していない場合、審査官は第1次審査意見通知書中すでに通知済みの事実、理由及び証拠に拠って 拒絶することができる。

第三部分  国家段階に移行した国際出願の審査

第一章 国家段階に入った国際出願の方式審査と事務処理

当部分の改訂の大部分は、語句に筋を通し、正確に表現し、用語を正確にし、用語の規準を統一するための改訂である。
例えば:

1.「小冊子」は「国際公表書類」に統一

2.「国際局」は 「国際部門」に 統一

3.「国際予備審査報告」は「専利性国際予備報告」に統一

3.2  原出願の翻訳文、添付図

翻訳文と原文が明らかに不一致であれば、当該翻訳文は国内段階移行日時を確定する基礎とはしないとの規定が追加されている。つまり、翻訳文と原文が不一 致の場合は、翻訳文を再提出した日が国内段階移行日とする。

5.6 訳文の誤りの改訂

訳文の誤りの概念を明確にしている。つまり、訳文の誤りとは、訳文書類と国際部門に送った原文書類とを比較して、個別の専門用語、センテンス或いは個別 の段落の漏れ或いは全て不正確な情況を指す。 

8.3 その他の特殊な費用

明細書に大きなヌクレオチド酸或いはアミノ酸のリスト(紙では400ページ以上のリスト)を含む、当該のヌクレオチド酸或いはアミノ酸のリストについて 納めるべき明細書の付加費用は400ページ分として、人民元40000元となる。

第二章 国内段階に移行した国際出願の審査

3.2 審査根拠の書類

原規定では審査の基礎となる書類の第(1)-第(4)を含み(第1は元の訳文、第2は第19条に基づき提出した補正訳文、第3は34条に基づき提出した 補正訳文、第4は第28条或いは第41条に基づき提出した補正訳文),且つ当該補正は「同日提出した」とし、即ち出願人はPCT/CN/501表で指定す る書類を審査の基礎としていた。これを「同日に提出していない」に改訂し、後で提出する文書を審査基礎とする。即ち、原規定に基づき、上記改訂は同日提出 したものではなく、後で提出する書類を審査基礎とすればよい。
しかし、実際上はこのようではなくて、つまり、「同日提出」であるか否かに関わらず、すべて出願人はPCT/CN/501表で指定する文書を審査基礎と し、PCT/CN/521表はPCT/CN/501表の補充と指定している。

第四部分  再審と無効請求の審査(略)

第五部分  専利出願及び事務処理

第三章 受理

2.2 受理しない場合について

共同出願をする時は、第1出願人の状況が専利法第19条規定(渉外代理機構に委託)に適用しているかどうかを確定する。即ち、第1出願人が中国企業或い は個人であるならば、渉外代理機構に委託する必要はない。
明らかに国外から直接郵送された専利出願の情況では受理しない。
受理しないものに、分割出願や類型を変えたものを含むことを追加している。

2.3.1 受理手順

明らかに宅配便(郵便局の郵送でない配達)で専利局受理処或いは各専利取扱所に送り届けた専利出願は、受領日を出願日とする。

第六章 その他の規定

1.2

電子出願の方式については、通知と決定は必ずコンピュータの書類を送信するシステムを使わなければならず、紙では送られないことを明確にしてい る。

以上

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